2020年2月11日火曜日

Raspberry Pi用に使ったmicroSDカードをフォーマットする

1. はじめに

Raspberry PiではmicroSDカードにOSをインストールして利用します。一度Raspberry Pi用に使ったmicroSDカードは、Linux 系 OS 用に分割およびフォーマットされているため、そのままでは通常のPCで使えません。

このmicroSDカードを通常のPCで再び用いたい場合、フォーマットと呼ばれる作業を行う必要があります。

しかし、フォーマットはWindows標準の機能では行えません。そのためのソフトウェアをインストールして実行する必要があります。 2020年3月に発表されたRaspberry Piの新しいインストール用ソフトウェアであるRaspberry Pi Imagerはこのフォーマット機能を備えています。 ここではRaspberry Pi Imagerによる方法と、もう一つSDメモリカードフォーマッターというソフトウェアによる方法の2種類を紹介します。

2. ドライブ文字の確認

フォーマットをすぐ行ってもよいのですが、ここでWindowsに特有の「ドライブ文字」について先に解説します。知らなかった方はここで覚えてしまいましょう。

PCにまだmicroSDカードを接続していない状態でWindowsのエクスプローラーを起動し、左側の階層構造で「PC」をクリックします。すると、Windows 10がインストールされたストレージが下図(A)のように棒グラフで表示されます。

下図(A)の「Windows 10」の部分は自由に変更できる箇所なので、人により表記が異なります。重要なのは、「C:」と書かれた部分です。この「C」のことを「ドライブ文字」といい、下図(A)の状況のことを、「Windows 10のシステムがCドライブに格納されている」と呼びます。


なお、Windows 10のシステムがCドライブ以外に格納されていることはあり得るのですが、恐らくほとんどの方は上図と同じくCドライブにシステムがインストールされているでしょう。

PC上にCドライブ以外のドライブがあることもあります。例えば上図(B)にはDドライブが存在しますが、これは、「PCにメモリーカードリーダーが接続されているが、そのリーダーにmicroSDカードが挿入されていない」ときに現れます。

他にも、DVDドライブなどが表示されていることもあるでしょう。

このように、皆さんがお使いのPCで、microSDカードが接続される前の状態をあらかじめ頭に入れておきましょう。

ここで新品のmicroSDカードをPCに接続すると、状況は以下のように変化します。新たに、棒グラフ付きのDドライブが出現しており、これがmicroSDカードを表します。

Cドライブど同様に「MICROSD」の文字は人によって異なりますし、ドライブ文字もDドライブとは限らず、人によってさまざまなドライブ文字となることに注意してください。


なお、上図は16 GBのmicroSDカードを差した時の様子です。容量が14.4 GBと表記されていることにも注意しましょう。このように、PC上ではmicroSDカードの容量はカードの表記ぴったりの数字としては現れません。

3. Raspberry Piで使ったmicroSDカードをWindows 10に挿入すると?

さて、Raspberry Piで使ったmicroSDカードをWindowsに差し、フォーマットを行いましょう。

まず、microSDカードを挿入すると、以下のようなエラーが現れます。このエラーは今後何度も目にすると思いますが、すべて「キャンセル」をクリックして閉じてください。


「キャンセル」ボタンを押すと次のエラーが現れますが、これは「OK」ボタンを押すことで消えます。


何が起こっているのでしょうか。先ほど確認したエクスプローラーの「PC」の項目を見ることでそれが明らかになります。

下図には、
  • (A) NOOBSでOSをインストールしたmicroSDカード
  • (B) OSのイメージをインストールしたmicroSDカード
  • (C) NOOBSでOSをインストールしようとしたが失敗したmicroSDカード
の3パターンでの「PC」の状態を示しています。いずれも、microSDカードを一つしか差していないにも関わらず、複数のドライブが現れています。それぞれのドライブ文字もチェックしてください。


上図のように、Raspberry Piで Linux 系 OS 用にmicroSDカードを使うと、カードが複数の区画に分けられます。それぞれの区画をパーティションといいます。さらにいくつかのパーティションはLinux用にフォーマットされており(上図ではEドライブとGドライブ)、Windowsで中身をみることができません。

microSDカードを差したときに出たエラーは、これらEドライブやGドライブをWindowsで認識できないことに対するエラーだったのです。

ここから行うことは、これら複数のパーティションを一つに統合し、さらにWindowsで読めるようにフォーマットしなおすことです。

4. Raspberry Pi Imagerによるフォーマット

まず、2020年3月に発表されたRaspberry Pi Imagerによるフォーマット方法を解説します。

Raspberry Pi Imagerのインストール方法は、「Raspberry PiへのOSのインストール方法」をご覧ください。

インストール済のRaspberry Pi Imagerを起動するには、下図のように検索窓で「ras」などと記入することで現れるRaspberry Pi Imagerをクリックします。


起動したRaspberry Pi Imagerで、「Operating System (OS)」の部分の「CHOOSE OS (OSを選ぶ)」ボタンをクリックしましょう。下図のように「Erase (削除)」を選択します。なお、「Format card as FAT32」と書かれているように、64GB以上のmicroSDカードも FAT32 形式でフォーマットされます。


次に、「SD Card (ストレージ)」の部分の「CHOOSE SD CARD (ストレージを選ぶ)」ボタンをクリックしましょう。microSDカードがPCに接続済であれば、下図(A)のようにmicroSDカードが選択肢として現れますので、クリックして選択します。このとき、下図(A)の「D:\ E:\」のようにドライブが複数表示されることがあります。これは、下図(B)のように、Raspberry Piにより分割されたmicroSDカードの複数のパーティション(ドライブのようなもの)に相当します。

なお、外付けハードディスクなどをPCに接続していると、ここでの選択肢が複数現れます。microSDカードを表す適切な方を選択しないと皆さんの大切なデータが壊されてしまいますので注意しましょう。


あとはRaspberry Pi Imagerで「WRITE (書き込む)」ボタンをクリックしましょう。フォーマットが実行され、終了すると下図のような画面が現れますのでmicroSDカードを取り外し、その後Raspberry Pi Imagerを終了しましょう。


5. SDメモリカードフォーマッターによるフォーマット

次に、SDメモリカードフォーマッターによるフォーマット方法も紹介しておきます。Raspberry Pi Imagerが登場するまではこちらの方法が主流でした。

まず、SDメモリカードフォーマッターを事前にインストールしておく必要があります。まず、以下のページで、お使いのPC用のSDメモリーカードフォーマッターをダウンロードしてください。
SDメモリーカードフォーマッターにはWindows用とmacOS用がありますが、以下ではWindows 10を用いて解説を行います。

ダウンロードされるのは SDCardFormatterv5_WinJP.zip という名前の圧縮ファイルです。拡張子「zip」はお使いのPC環境によっては省略されて見えないかもしれません。また、バージョン番号が大きくなることもあり得ます。

このファイル上でマウスを右クリックし、下図のように「すべて展開」を選択します。現れた画面で「展開」ボタンを押してファイルを展開してください。



すると、展開されたフォルダ内に以下のように SD Card Formatter 5.0.1 Setup JP.exe という名前のファイルがあります。バージョン番号は以後大きくなっていきます。

このファイルをダブルクリックし、インストールを開始してください。デフォルトの設定のまま変更せずに進んでいけばインストールが完了します。

インストールが完了したら、フォーマットを実行しましょう。Raspberry Piで用いたmicroSDカードがWindowsに接続された状態でSDメモリカードフォーマッターを起動します。Windowsメニューから、「SD Association」→「SD Card Formatter」と辿ると見つけられます。

起動した状態が下図です。下図に赤色で示した二か所に着目しましょう。

まず、「カードの選択」の部分にこれからフォーマットするドライブのドライブ文字が書かれていることに着目してください。本ページの例ではDドライブとなっていますが、ドライブ文字は皆さんの環境で異なりますので、自分の環境でのドライブ文字が現れていることが重要です。

なお、その下には認識されたmicroSDカードの情報が記されています。この図では32 GBのmicroSDカードが接続され、容量が29.81 GBと認識されています。先ほども触れた通り、カードの表記ぴったりの数値は現れませんので注意してください。



なお、カードの選択の部分は以下のように選択式になっています。本ページの例の場合、Raspberry Piにより4つに分割されたパーティションのドライブ文字がすべて現れています。4つのうちどのドライブを選んでも同じ結果になりますが、あえて変更する必要はないでしょう。


以上を確認したら、右下の「フォーマット」ボタンを押します。すると、以下の警告が現れます。「データが消去される」とはRaspberry PiのOSのデータがすべて消えるということです。

フォーマットする対象のドライブがmicroSDカードのものであることを確認したうえで、自己責任で「はい」をクリックしましょう。


フォーマットが完了すると、下図のように正常終了を知らせる画面が現れます。


エクスプローラーの「PC」の項目で確認すると、確かに4つのパーティションが統合され、Windowsで読める形式に変換されていることがわかります。



以上です。お疲れさまでした。

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